控訴理由書を解く
地裁判決 ここが根本的誤り
《証拠と事実を無視した不当判決》
1. 裁判官は管財人(東京地裁民事8部が選任した)は公平中立の立場であることを前提においている。その管財人の策定した「更生計画」と人員削減策を絶対視しているために、原告の主張を悉く排除している。
その結果、整理解雇法理(4要件)の適用に当たって、下記の重要な事実についての検討
・考慮をすべて怠った。そのため、更生会社においても 4 要件は適用されるとしながらも、実際、被控訴人の主張を鵜呑み
にし、おざなりの検討しかしなかった。
・解雇時点で、更生計画上の人員削減目標は達成されていた。
・解雇時点で、更生計画上の利益目標を900億円以上上回る営業利益を計上していた。
・病欠や年齢を解雇基準に用いる事は安全軽視そのものである。
・組合が提案した解雇回避策は真に実効的なものであった。等
2. 証拠として出された事実を無視し、あるいは事実に基づかない判断をした。
・稲盛会長の発言「経理上165人を解雇する必要がなかった。」の真意を捻じ曲げた。
・労働者が受ける痛みや不利益について何の考慮もせず、むしろ高年齢層は経済的な被害度も低いと勝手に推測し判断した。
・LCC 設立について 2010 年(整理解雇実施前から)にすでにカンタスと協議していたことを無視。
・整理解雇実施2ヶ月前の10 月に新規32名を客室乗務員として入社手続きし、12 月にラインに投入した事実を無視。・・
・・・・等
3. 人員削減が空の安全に脅威を与えていること、不当労働行為が安全に与える影響などについて、一切言及していない上、更生計画が求めている「安全が大前提」が守られたのかどうかの検討が全くない。
4. 安全問題や労働者の権利等について会社に物を言う労働者を排除しようとした、本件解雇の不当労働行為性については検討もせず否定している。
5. 長期にわたる財務状況の悪化の原因となった破綻の原因について、その内容については触れていない。また人件費の高コスト構造が破綻の原因であるかのように述べられている。
6. 更生計画の目的は計画通りの利益を確保し、弁済を行うことであり、人員削減だけを更生計画における主要な目的 であるとするのは、更生計画に対する誤った理解である。
不当判決を跳ね返すため、高裁で訴えたポイント
1.整理解雇4要件の適用
更生会社であっても整理解雇 4 要件は適用される。企業再生を理由にすれば、解雇を自由にできると いう司法のお墨付き判決は許されない。落ち度がないのに一方的に職を奪われる労働者の重大な不利益 を考慮した判断をすべきである。
2.人員削減目標の達成
更生計画上の人員削減目標は達成していた。JAL グループで削減目標を 1300 名も上回る。・会社側は 165 名が未達だったというが、165 名の雇用を継続したからといって、更生計画の実 行に支障が出たり、二次破綻に至ることはありえなかった。稲盛会長発言「165 名を残すことが経理上不可能ではなかった」でも明らかである。・会社は希望退職応募者数だけを取り上げて目標未達としていたが、客乗職では希望退職以外に 多数自主退職等しており、12 月1日時点で更生計画上の人員削減目標である「新しい人員体制」 を大幅に下回る人員数になっていた。
3.客室乗務員の大量新規採用
地裁判決直後に、客室乗務員を新規採用すると発表し、その人数は今年度と来年度合わせて 900 名に もなる。解雇後すぐに人員不足に陥ることを承知しながら、その時点で人員状況を再度検討し、解雇を回避する措置を検討せず強行した。
4.解雇回避努力義務違反
仮に人員削減が必要だったとしても、管財人は解雇回避努力義務を負っている。解雇以外の方法で人員削減が可能だったのに、解雇を回避しなかったのは管財人の回避義務違反である。組合が提案した解雇回避策は真に実効的であり、会社がめざす「余剰人員をなくす」施策である。
5.不当労働行為性
解雇回避をあえてしなかったのは、組合の活動家を排除することと、安全問題や職場の問題についてきちんと物を言う CCU 組合や乗員組合を弱体化する狙いがあった。年齢を理由に解雇された客室乗務員 64 名の内、57 名がCCU 組合員であった。被解雇者には CCU 委員長、副委員長、日乗連議長、航空連議長等の組合役員が多数含まれていた。
6.不合理な人選基準
年齢を理由にした解雇は年齢差別であり憲法違反である。年齢や病欠の解雇基準は、安全を軽視 しており、世界のスタンダードから見ても違法であり異常である。
7.解雇に至る手続の信義則違反
組合の争議権確立について、管財人代理らが支配介入の不当労働行為を行うなど、真摯な労使交渉が行われなかった。ILO も本件について、労働組合と十分な協議を行うことの重要性を強調し、 当事者間で協議が実施されることを確実に保障するよう日本政府に勧告した。また、希望退職に応募しない者から仕事を奪い、管理職との面談を行い退職強要ともいえる圧力をかけた。実質的に指名解雇であった。
8.安全の確保・向上義務違反
行き過ぎた人員削減が、職場にモチべーション低下と不安をもたらしている。職場では退職者が後を絶たず人員不足に拍車をかけている。安全より利益優先の経営哲学により、不 安全事例も後を絶たず、更生計画が求める「安全が大前提」が守られていない。
9.破綻の原因に「人件費の高さ」はない
政治的圧力による過剰投資や放漫経営という破綻の真の原因から目をそらして、あたかも人件費が原因かのように装って、解雇は合理的だと判断。被控訴人の人件費は更生手続き開始前の時点で、国内外 他社との比較において低い割合であった。破綻の主要な要因が、人的コストにあるかのようにとらえるのは誤りである。
人員削減目標は既に達成していた
12 月 9 日(解雇予告日)時点において、更生計画上すでに人員削減目標は達成していましたが、会社は削減目標が達していないとして 165 名を解雇しました。しかも更生計画上の削減目標達成期日は、2011 年 3 月末であり、2010 年 12 月時 点で解雇する必要は全くありませんでした。
会社は希望退職応募者数だけを取り上げて目標未達としていたが、客乗職では希望退職以外に、自らの意思で退職した 人が多数いました。そのため、9 月以降の修正された削減目標 662 名に対し、実際の在籍者数は 9 月 1 日~12 月 1 日の間で 905 名も減っていたのです。しかし、日本航空はその事実を隠していました。
このように、12 月 1 日時点で目標数を大幅 に超える人員削減ができていたのであり、計画上からは不当な整理解雇を強行する必要などまったくなかったのです。
客室乗務員940名の新人を採用するなら、なぜ84名を戻さないのか
パイロット 81 名、客室乗務員 84 名が整理解雇されてから、わずか1 年 3 ヵ月後に客室乗務員の大量新規採用が発表されました。2010 年には解雇者を含め 2,200 名以上の客室乗務員が削減されましたが、会社は事業規模に見合 った人員体制にすると言いながら、実は大幅な人員不足を招いていたことが明らかです。
《大量新規採用が示すもの》
1.解雇をする必要は全くなかった。
・余剰だとして 84 名が解雇されたが、解雇時点で計画以上に在籍者数が減っていた。
・解雇直後から人員不足が発生していた。そのため、2011 年度客室乗務員人員計画では、一人当たりの稼働時間を5時間
も増やした(「これ以上は乗務できない」という上限に限りなく近づけている)。
2.解雇時点で人員状況を再度検討すれば、解雇を回避できた。裁判官もこれを精査しなかった。
3.解雇後、退職者が止まらず深刻な人員不足が続いている。
《退職者が止まらない》
整理解雇後、どの職場で働く人たちも、労働強化の一方で賃金は切り下げられモチベーションが低下しています。そのため退職者が後を絶たず、人員不足に拍車をかけています。