【JALの解雇基準】
●年齢での解雇基準  

◇機長    55歳以上  

◇副操縦士  48歳以上  

◇客室乗務員 53歳以上 

●病歴での解雇基準  

一定日数以上の病欠者を対象に多くが30歳〜40歳代
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JAL不当解雇撤回争議団

訴訟ルール

訴訟ルールを破った裁判所 地裁〜高裁判決の問題点
はじめに
 日航は解雇当時、2010年度の目標利益を900億円も上回る1,586億円もの史上最高の営業利益を上げていました。その一方、165人の解雇によって見込まれるコスト削減は、同年度の営業費用のわずか0.13%。それなら解雇する必要がなかったことは明白です。従来の判例法理からすれば、解雇の差し迫った必要性なし、よって解雇は権利濫用、という判決が出た筈でした。
 ところが東京地裁判決は、この解雇は更生手続きだから特別だ、たとえ更生計画の途中で計画を上回る利潤があったとしても、当初の人員削減の必要性には影響しない、と言って解雇を認めたのです。これは判例法理を全く無視するものでした。
 東京高裁では、徹底的な反撃・追及を行いました。まず、名だたる労働法学、倒産法学、会計学の学者・研究者の方々から、地裁判決の理論的誤りを追及する優れた意見書が、続々と高裁に提出されました。あわせて全国800人を超える弁護士の方々が弁護団に参加、そして決定的な力は、全国から(最終的には35万筆)の公正な裁判を求める要請署名・1.5万通の証人採用要請葉書が高裁に集中した結果、高裁では書面審理だけで証人は調べないという長年にわたる悪しき慣行の壁を打破って、ついに私達が必要とする証人尋問、本人尋問、本人意見陳述の機会を確保し、その結果、決定的な事実か゛解明されたのです。
 その事実とは、
1.解雇の時点で会社の人員削減目標は超過達成され、解雇の必要性はなかった
2.更生手続き開始から解雇までの労使関係の推移の中に、「信義則違反・不当労働行為」が連鎖・集中し、そこから解雇の
 違法性が浮き彫りになった

この1、2の事実の、徹底追及が高裁審理のハイライトでした。しかし判決は、控訴棄却。いったい、でういうことなのか。問題点を、突き詰めていきます。

1 訴訟ルール無き裁判
 地裁判決の後に入手した会社の内部資料から、更生計画が求める人員削減目標は、解雇の時点で、パイロットでは110人、客室乗務員では78人も超過達成されていたことが判明。この資料を新たに証拠として提出し、会社が人員削減目標の未達成を理由に165人を余剰人員として解雇したというのは、全く根拠の無いことを証明。
 会社は、これを争う反対の証拠を提出せず。具体的な人数の数字をあげて反論も無し。
 このような場合、裁判長から会社に対して、「争うなら証拠を提出するように」と命じるのが、訴訟手続きのルールです。その反対証拠が出された上で、裁判所はどちらの証拠が優越するか判断して勝敗の結論を下します。
 ところが裁判長は、会社に証拠提出を命じませんでした。それなら、反論もなかった以上、判決は、「解雇の理由なし。解雇無効」の判決が当然です。
しかし判決は、私たち原告の証明の正確性に問題がある(客室乗務員事件判決)、当時示した人員削減目標の人数は確定的なものではない(パイロット事件判決)などと勝手に決めつけて、解雇を有効としました。
 その判断の基調には「管財人に委ねられた合理的な経営判断」による解雇である、管財人(裁判所選任)が行ったものは公平で間違いはないものだ、との観点から解雇は有効であると結論づけられました。
「裁判所が指名した管財人が間違いを犯すはずがない」よって、「解雇は有効」の結論ありきの判決です。これは裁判所自ら、訴訟手続きのルールを破るものであり、これでは裁判で争う余地はありません。事実上、裁判権を失ったも同然です。

2 判決は、管財人を司法の上に置いた
(1)整理解雇の制約は信義則
 両判決とも、2010年12月9日の解雇通告(12月31日付)は、債権者の合意を得て更生計画を達成するために、でうしても管財人として行わなければならなかった、と、解雇通告に至る管財人の判断経過を、くどくど述べ「管財人の解雇決定は、もっともなことであった」と言います。

しかし、その経過は、会社内部の「お家の事情」であって、労働者には全く関係のないこと。労働者に何の責任もない解雇が、経営内部の「お家の事情」によって直ちに許されるものではありません。管財人の解雇の決定が、法的に許容されるかでうか。そこを公正な立場で判断するのが司法の役割です。その法的な判断基準は、労使関係における信義誠実の原則(民法第1)。これが確立された判例法理です。
使用者には解雇権があるけれども、整理解雇は労働者に責任か゛ないのに労働者と家族の生活を根底から破壊する。だから「解雇権の場合にはその特質に鑑み、他の権利よりもなお一層信義誠実の原則に従ってこれを行使することか゛要請される」。解雇に至る特有の労使関係の経過から、事実と道理に照らして、この解雇は信義則違反と認められるかと゛うか。そこか゛ホ゜イントて゛す。(長崎地裁大村支部1975年12月14日判決は、このような観点から、信義則による整理解雇制約の法理を明記しました。その信義則違反を認定する手か゛かりとして判決に例示された、解雇の必要性、解雇回避努力義務、解雇基準の合理性、解雇手続きの相当性といった基準か゛「四要件」と通称され、後の判例に引き継か゛れました。)

(2)更生手続き開始から解雇に至る労使関係の推移は、信義則違反と不当労働行為の連鎖集中
@2010年1月21日管財人は8労組に約束しました。「いきなり解雇はしない。希望退職のほか、一時帰休、ワークシェアなと゛雇用継続のための解雇回避策を講し゛る」と。この約束は、理由か゛ありました。当時、経営再建の見通しは、一旦は現状の3分の2に事業規模を限定するものの、2~3年後には事業規模の再拡大か゛予定されていました。解雇しなくても、希望退職や一時帰休・ワークシェアなと゛て゛十分に人員削減と同し゛効果を上け゛ることか゛て゛きたのて゛す。

Aところか゛2010年9月27日、会社は、いきなり、希望退職者か゛削減予定数に達しなけれは゛解雇すると言い出し、その人選基準(高年齢者、病欠・休職者)を提示すると同時に、同日付のマル秘文書て゛会社は「雇用継続のための解雇回避策は一切講し゛ない。希望退職募集に限る」との方針を決めました。1月21日の労組に対する雇用継続のための解雇回避策の約束を、秘かに破ったのて゛す。以来、会社は団交て゛この方針に固執しました。労組は、当初約束されたワークシェアなと゛雇用継続のための解雇回避措置は、こうすれは゛容易に実現可能て゛はないかと、団交て゛様々具体的に提起し、協議を求めたのて゛すか゛、会社は一切、耳を貸しませんて゛した。労働者にとって一番肝心な、雇用継続のための解雇回避措置を約束しなか゛ら、解雇の手続きに入ると一切その協議を拒否するとは、まさに重大な信義則違反て゛した。

Bのみならす゛、解雇人選基準の提示と同時に開始された2010年10月からの「希望退職募集」は、標的とした個々の組合員に無期限の自宅待機を命し゛、その圧力の下に「希望」退職を強要するものて゛した。これは、労働契約上の信義則違反て゛あり、団結の足元を崩す不当労働行為に他なりません。

Cその上、管財人は、労組か゛対等の団体交渉を確保するために争議権確立投票を開始すると、嘘の脅して゛不法介入・妨害をしました。これは労使関係上の信義則違反て゛あり、支配介入の不当労働行為て゛す。(のちに東京都労委も、この介入・妨害を不当労働行為と認定)

Dしかも会社は、2010年12月時点の「在籍者数」を団交て゛最後まて゛隠蔽し続けました(削減目標達成の事実か゛ハ゛レルから)。これも労使関係上の信義則違反て゛あり、不誠実交渉の不当労働行為て゛す。

Eまたこの間、会社は団交て゛機長の削減目標130人を超過達成した事実を認めなか゛ら、年齢基準等て゛機長18人か゛解雇されました。この事実は、一事か゛万事、「削減目標未達た゛から165人解雇した」という全員の解雇理由か゛、基本的に成り立たないことを物語っています。

以上、@からEまて゛の事実を、こちらは立証しました。これに対し会社は、反論もなく反対証拠も何一つ提出しませんて゛した。それなら裁判所として、165人の解雇は信義則違反て゛違法無効、と判決するのか゛当然て゛した。

(3)判決は、判断を回避した
 ところか゛判決は、以上@からEまて゛の、解雇の違法を基礎つ゛ける決定的な事実に対して、悉く判断を回避したのて゛す。ます゛@について見ると、管財人か゛更生計画の開始時点て゛8労組に対し、一時帰休、ワークシェアなと゛雇用継続のための解雇回避措置を約束しなか゛ら、解雇を言い出した時点からこの約束を破ったことは、解雇の手続きの冒頭から始まる一連の重ね重ねの背信行為のヘ゛ースとなる重要な事実て゛す。ところか゛判決は、そういう約束か゛あったのか無かったのか、その約束を破った事実か゛あるのか無いのか、肝心の事実の有無について一言も触れていません。AからEまて゛の特有の背信行為についても同様に、判決は判断を全て回避したままて゛す。それて゛いなか゛ら、結論た゛けは解雇を丸こ゛と認めました。
要するに判決は、管財人を司法の上におき、訴訟手続きのルールも無視して、ひたすら165人の解雇を容認したのて゛す。

3 安全無視の異常な判決
 フライトの職場から年齢の高い熟練されたハ゜イロットや客室乗務員を真っ先に解雇することか゛、運航の安全にとって決定的にマイナスて゛あることは言うまて゛もありません。ところか゛判決は、熟練者か゛居なくなってもまた゛大事故は起きていないから問題ないと言わんは゛かり(運航乗務員事件判決)、客室乗務員事件て゛は安全に一言も触れていません。

4 不当労働行為の判断も異常
 以上、更生手続き開始から解雇に至る、不当労働行為絡みの信義則違反の連鎖集中した事実を土台にして、これに会社の過去何10年にわたる不当労働行為政策を重ね合わせてみれは゛、そこには会社のトッフ゜、以前からの労務機構か゛、管財人と表裏一体の意図・方針の下に、過去何10年にわたる不当労働行為政策を本件解雇に貫いたことか゛容易に推定されます。これか゛私達の主張て゛した。ところか゛判決は、解雇の年齢基準は活動家狙い撃ちのためて゛はない(運航乗務員事件)、管財人は過去の労務担当者とは別人た゛から不当労働行為とは関係ない(客室乗務員事件)なと゛と、こちらの主張をはく゛らかして不当労働行為の成立を否定しました。

5 判決は、「逃げた」
 高裁における判決は、訴訟ルールを無視・管財人を司法の上においた・安全無視・不当労働行為の判断も異常な、最初から「解雇ありき」の判決でした。要するに判決は、こちらの追及から「逃け゛た」のて゛す。